ゆっきゅん ライナーノーツ

退職讃歌。2年前の夏に吉祥寺のサンドラッグに一人で入った時、そこには仕事帰りの疲れた女性らしき人たちだけがいて、私は働く女性を応援する気持ちに歯止めが効かなくなりました。そんな気持ちを抱えた中で、バーバラ・ローデン監督の映画『WANDA』やアニエス・ヴァルダ『冬の旅』が心に残り、人生に疲れた人が一人で歩いている肖像のような曲を作りたいと思い浮かべていました。シャンタル・アケルマンの名作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を日仏学院で観ていたときになぜか曲名『ログアウト・ボーナス』を思いつき、兄の結婚式の帰りに一人で泊まった愛知県刈谷市のビジネスホテルで、メロディもないのに急にフルコーラスで歌詞が書けてしまいました。退職の心をできるだけ明るい歌にしたかったです。生まれ変わらないあなたを私が見てる。奥中くんは全てを汲み取ってくれました。アルバムの核。レコーディングほんと楽しかった。この歌があれば大丈夫だと思いました(その後何曲もそう思うことになる)。

奥中康一郎(えんぷてい)コメント

昨年9月、ゆっきゅんとふたりで喫茶店に行き、近況報告。そのテーブルで、うまく形にならなくて悩んでいる歌詞をこっそり見せてくれました。歌詞がメロディを訴えかけてくれたので、そのままふたりでスタジオ(自宅)に行きこの曲の原型を作りました。歌詞が先、メロディが後だとメロディに合わせて歌詞を変えることもしばしばなのですが、ほとんど歌詞を変更せずメロディが付き、オリジナルの歌詞の持つ景色をより鮮明に表現できたかなと思います。そして演奏には君島大空氏(Gt)、梅井美咲氏(Pf)、高橋佳樹氏(Ba)、神谷幸宏氏(Dr)を迎え、私もアコギとタンバリンで参加して音源を仕上げました。REC、MIX、マスタリングはえんぷていでもお世話になっている柏井日向さん。聴きどころ満載になっているので是非! そういえば私事ですが初めての楽曲提供です。