ゆっきゅんの歌を聴くと、私は自分の心と体がよく見えるようになるってことが、どんどんわかってきている。自分の中に蓄積したかけがえない記憶と、自分が世界を理解するために使っているフィルターが、歌を聴くたびに鮮やかな色と形を持って浮かび上がってくる。それはゆっくりと時間をかけてわかることだったから、いつもはっきりすぐには言葉にできなかったのごめんね。多彩な輝きを放つ音像とそれに乗せられた詞たちが、私の体を起こしてくれた(けど、何時間でも寝てていいとも言ってくれている)。

「ああ、フードコートに同い年がいない どんな不安を抱えたらいいの?」バイトの時間までフードコートで時間を潰そうとヘラヘラ椅子に座ったら周りにちっさい子供とその親しかいなかったことがあって、私は必死にコットンキャンディとIVEのことだけ考えて突然降ってきた得体の知れない不安から、座り込みながら大急ぎで逃げたことがあるの。それ知ってたの?

「行ったことない駅ビルの過ごしたことない放課後が 蘇るじゃん」去年出会った友達のこと好きすぎて、近所に住んでて毎日ファミレスのドリンクバーで何にもならない話する高校時代だったらどれだけ良かっただろうってなんども考えてたのも、知ってた? 「僕がスーパースターになっても友達でいてくれる?」プライベート・スーパースターは特に一文抜くべきでない歌だと思うけど、それでもここは、世界に引きちぎられそうになってきた互いの心を二人で握りしめて立ち続ける強さと弱さがまばゆくて大好き。隕石が降り注ぐ夜の空の下を二人でずっと走ってくれたら…。 「気づかれないようにかけがえながる 感情の最先端!見せたげる」自分の中のかけがえないって感情をゆっきゅんに気づかせてもらってから本当に人生が良く回り出した。大袈裟に言った。でも本当の気持ち。良いとか悪いとか好きとか嫌いとかじゃない、心に降り注ぐ光、かけがえなさ…。

「手を繋いで街を走ろうよ 大人でも友達でも良いじゃん」かけがえない心はいつも止められないエネルギー携えて全速力で走らせてくれる。大切な人を大切に思う気持ちが自分の中にあることがあまりに嬉しくて走らずにいられないんだよー。 「ドバッと急に泣いて 叫んで走って帰ろ」また走ってる!知ってるよ走るしかないから。この人のためにできることがあればなんだってしたいのにって思う気持ち、それが私にしかできないことじゃなくても、素晴らしいことじゃなくても、ただこの人が自由で自分らしくあれたらいいのにって思う気持ちと、ただそこにある現実が、自分の身を引っ張り続けたら、凄い勢いで反動が起きて走り出す。なんて思ってたら 「なんかしてあげたかった 望んでないだろうけど」なんかしてあげたいんだよ、望んでないだろうけど…。たくさんのことに遅刻しちゃったけど、なんかしてあげたかったなあ。小さい後悔が人生のいろんな場所に散りばめられてる。でも諦めてないし、遅すぎるとも思わない。「だってラブソングには遅すぎるなんてないので」!『遅刻』は、喫茶店で向かい合っている二人と学生時代の二人の姿が交互にスイッチングするようなイメージが浮かぶところもとても好き。 「踊らされず 踊り続けてきた」酒を飲む理由が見当たらない私はいつもしらふで孤独のダンスを踊り続けてきたから、すごく嬉しい歌だった。

「こんな半日を宝石にして思い出しては生きるそれでいいのか」こんなの相手がそのうちさらっと忘れちゃうようななんてことない時間なんだろうなと思いながら、かけがえない私の心は相手が放った一言一句も忘れずに、不意に繰り返し思い出して、なんだか訳のわからない気持ちになって顔を覆いたくなる時を何度も何度も過ごしてしまう。こんなのダメかな!でも、そうなんだから仕方ない。 「幸せでいて 邪魔したくない」私の方があなたのこと大事に思ってきたし面白いのに、なんでかなあ。そんな気持ちは絶対に見せたくないけど、それでも確かに私の心だった。去年友達が結婚した時の話。 「調べれば分かるような話も聞いてくれないの?」私は本気で失恋した記憶がないけど、この曲を聴いたら失恋したくなってしまってびっくりした。次に行こうなんて言われたって、自分の気持ちは自分が思うようにしていいって、なんで忘れていたんだろう?「忘れるまでは覚えていたいよ」どれほどのことだったとしても、すぐ切り替えなくてもいいってこと、私はもうわかったから忘れないと思う。 「二十代!思い出以外の話ができるかな 水分を摂って空を見た」いつでも会えるって、現実にならない可能性の方が高くてそんなのもうっすらわかってるけど、だけど「いつでも会えるよ」って思った気持ちは永遠に偽りない真実だから、絶対にいつでも会える。思い出じゃなくて、今と未来の話ができたらいいなって思うくらい大切な友達。水分を摂る人は本当に生きてる人。賛歌だなあって思って泣けてしまった。

私は普通なのに、長い間一人で過ごしてきた。それが特別辛かったことはないけど、あまりにも一人にさせられるものだから諦めてたり抑えたりしたことがたくさんあった。だけど私がずっと出会いたかった友達がこのアルバムの中にいて、私の心はたぶん初めて本当の意味で慰められた。一人で自分のことを好きにも嫌いにもなって生きてきた私を、それでも平気でいられる私を、置いていかないで、見逃さないでくれてありがとう。私たちが出会っても、もし出会うことがなかったとしても、私たちは友達だって知っていて、教えてくれてありがとう。私が生まれ変わらないところを見ていてくれてありがとう!このアルバムが生まれて、本当に嬉しかった。